食養の陰陽-「五味」について①
今回は、最後の「五味」についてですが、ここからは「食養の陰陽」として、シリーズで説明したいと思います。
食養の陰陽-その1「五味」について
五味 は酸味(さんみ)、苦味(くみ)、甘味(かんみ)、辛味(しんみ)、鹹味(かんみ…塩味)のことで、それに対応する臓器を調整する作用があります。 ただし、摂りすぎると、相克の臓器に負担をかけるので気をつけましょう。相生・相剋の関係は次にいたします。 では、臓器をどう調整するのか、車の動く仕組みを例にしながら説明したいと思います。
(1) 木-肝・胆 【酸】 ・・・・・・ エンジンオイル(潤滑油)
肝臓は三大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質を分解したり、合成したりする化学工場です。
胆のうは肝臓で作られた脂肪分解酵素の胆汁を貯めるところで、適宜に分泌して消化の流れを良くします。
酸味 は車のエンジンの動きをスムーズにするオイルと同様、消化の流れがスムーズにいくためのものと考えます。
【作用】
① 五行では「収」の働き-引き締める
水分の排出を防ぐ・・・多汗、頻尿、下痢、鼻水を止める
陰性の体質の人は逆に、水分が出ていけず、体を冷やしてしまうので、摂りすぎない方がいいと思います。
② 殺菌力
食酢には酢酸が含まれ、酸性の力で食物の殺菌にも利用されています。
保存のために、酢漬けの料理がいろいろありますよね。
③ たんぱく質分解酵素の活性化
これは②と同じ意味なのですが、あえて、別にしました。
つまり、バイ菌を殺菌する-ということは、バイ菌のタンパク質を分解(溶かす)するという意味です。
-ということは、バイ菌だけでなく、タンパク質のものなら、溶かせる、ということですよね。
胃酸も食べた物のタンパク質を溶かすわけですが、胃の粘膜が弱っている人は、この胃酸の影響を受けてしまい、粘膜が溶ける病気の胃潰瘍になります。
☆お酢を飲むと、体が柔らかくなる?…という説について 中華料理の肉料理には、よくお酢が使われていますよね。 肉を柔らかくするためもあるらしいので、この説が出てきたそうですが、人にとってはどうなのか、本当のところはわからないようです。 私の意見としては、お酢を飲むと胃に流れるわけですから、酸が多すぎて、胃内の酸度が上がり、体を柔軟にする前に、胃をやられてしまうのではないかと心配してしますが、皆さんはいかがですか? 飲むかわりに、お酢を入れたお風呂に長時間入れば、その効果がわかるかも・・・??? |
(2) 火-心臓、小腸 【苦】 ・・・・・・ ガソリンのハイオク化
心臓は血液を全身に送るポンプの役目をし、車ではエンジンの部分です。
小腸は食物を消化し栄養分を肝臓に送るガソリンタンクのようなものでしょうか。
苦味 はその働きをアップさせるという、いわばガソリンのハイオク化をする、と考えます。
【作用】
① 五行では「堅」の働き-固める
水分をとばす・・・下痢・出血を止める/むくみの改善
② 抗酸化
植物の「苦み」の成分はポリフェノールと呼ばれ、5,000種以上(!)あります。
赤ワインの研究でチョー有名になり、「フレンチパラドックス」の解答にもなりましたが、私に言わせると、つまり「PU的」には“解答ではない”です。
これについては別の機会にしますね!
ヒントは、ドイツは「ビール」、ロシアは「ウォッカ」、イギリスは「スコッチ」がよく飲まれていることを考えましょう。
あっ!日本は「日本酒や焼酎」ですよね。
(3) 土-脾(胃、膵臓) 【甘】 ・・・・・・ ガゾリンの成分
胃は食物を粥状(じゅくじょう)にして、小腸が栄養素を消化しやすいようにしています。
膵臓はインシュリンを出して、細胞がブドウ糖を取りこみやすくしたり、膵リパーゼという脂質の分解酵素も出しています。
甘味 はブドウ糖で、私たちが活動できるための主要なエネルギー成分です。
【作用】
① 五行では「緩」の働き・・・緩める
緊張をほぐす・・・ストレスから固くなったものの改善/肩コリ、腰痛(姿勢)/筋肉痛(運動)/胃痛(神経性) など
② 滋養
と、くれば「強壮」とも書きたいところですが、これはタンパク質に関係しているので、そのところで説明いたします。
私たちのエネルギー源は、穀類などの「炭水化物」です。
「ブドウ糖」そのものではありませんよ!
☆脳はブドウ糖だけがエネルギー源 砂糖は、朝、目を覚ますのにいいから「アメをなめなさい」とかコメントする「バカ者(!シツレイ!)」がいます。 キャラメルの箱にランナーの絵を描いている会社もありますよね。(そのキャラメル、今もある?) ブドウ糖だけではエネルギーは作れないんですよ! 他の栄養素も使うのですから、その栄養素もある未精白の穀類や豆類、芋類などがいいのです。 そうです、「一物全体食」「ホール・フーズ」です。 |
(4) 金-肺・大腸 【辛】 ・・・・・・ 排気作用
肺は呼吸によって酸素を取り込み、使用済みになった二酸化炭素を排出しています。
大腸は使用済みになった食物の固形物(便)を排出します。
辛味 は消化吸収の手伝いをして、使用済みの老廃物をスムーズに出せるようにします。
【作用】
① 五行では「散」の働き…発散させる
老廃物を体外へ発散・・・上記以外の排出として/皮膚から-汗/目-涙/鼻-鼻水/耳-耳だれ など
「しびれ」や「痛み」も発散のお知らせです。
漢方薬の名で「◯◯散」は、そうのような症状に効く薬です。
② 抗酸化
「辛み」の成分は、フィト(ファイト)ケミカルです。ポリフェノールとどう違うのかなあ?と調べましたら、ポリフェノールもその範囲内ということがわかりました。
つまり、フィトケミカルというのは「健康に良い影響を与えるかもしれない植物性由来の化合物」という用語だそうです。
サプリメントの効果で、よく使われている用語がズラズラと書いてありました。
例えば、アントシアニン、イソフラボン、クルクミン、アリシン、ルテイン、リコペン、カプサイシン、ジンゲロールなどなど
だから、その成分を多く含む植物が漢方薬にもなるんですね。
ただし、私的には漢方薬も問題あり!です。
これについても別の機会にいたしましね。
皆さんにお伝えしたいことが山のようにあって、私が生きている間に伝え終わるか心配です(苦笑)
(5) 水-腎臓・膀胱 【鹹】 ・・・・・・ 排気ガスの浄化
腎臓は血液をろ過して、老廃物を除去しますが、大事なのは栄養成分は再び体内へ戻します。
生物の歴史は飢餓との戦いですから、せっかく摂取した栄養分は節約しましょう!という生理作用なんですね。
なのに、糖質・タンパク質などを尿中に出してしまうなんて、破れたポケットからお金をバラまいているのと同じです。
お金がなくなっているのに気がついて、あわててお金を借りる、というのが、知らずに病気になってあわてて病院へ行くのと同じです。
膀胱は作られた尿がたまると、脳の排尿中枢に信号を送ります。
この信号がうまく伝わらなかったり、膀胱や尿道括約筋に問題があると排尿障害になるのです。
鹹味 は尿をろ過する働きに重要な電解質(イオン)に関係しています。
理科の勉強で、電気の実験に食塩水を使ったのを覚えていますか?
塩は水の中で、Na+とCl-のイオンになり、電気を通します。
でも砂糖水は通電させませんよ!
私たちの神経伝達は電気信号によるものですから、塩は通じますが、砂糖は断絶します。
砂糖水のような高血糖の血を脳に送るから、脳の中枢機能が断絶しやすくなるのです。
そうするとどうなるか・・・。おわかりですよね。
様々な精神障害が起こります。
ストレスのせいばかりして、お酒飲んだり、ケーキ食べたりしているアナタ、どう思いますか?
【作用】
① 五行では「軟」の働き・・・硬いものの軟化
神経細胞がうまく働かずに硬化した細胞を軟らかくする・・・こむら返り/関節リュウマチ/自閉症 など
② 体内環境の恒常性(ホメオスターシス)の維持
私たちの体の7割は水分で、血液やリンパ液などの体液が体内を循環しています。
健康な代謝活動には、体温やPH、血糖値などを一定に保っておかなければいけません。
それには塩を代表するミネラルが重要な役割をしています。
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