薬物依存について
最近、麻薬取締法違反の疑いで、芸能人が逮捕されるニュースが相次ぎましたね。
11月に沢尻エリカ容疑者がMDMA、LSD、コカインを使用したという事や、田代まさし容疑者は、覚醒剤使用で、たびたび実刑判決を受け、その後は、薬物依存症の人たちの社会復帰を支援する団体の職員として講演などの活動をしてきたのに…それなのに、また今回も逮捕されました。
麻薬への依存性のスゴさをつくづく感じます。
こんなにも危険なモノなのに、それに依存させられてしまう「麻薬」について、陰陽で考えずにはいられません。
(Ⅰ)依存性
(ⅰ)違法薬物とは…
広義では「麻薬」と呼ばれ、依存性、致死性の危険が高い薬物のことです。
植物由来
[アルカロイド系]
①麻薬(狭義)
ケシ系薬物…アヘン、モルヒネ、ヘロイン
コカ系…コカイン
②LSD…麦角菌から培養
③マジック・マッシュルーム(毒キノコ)…シロシビン・シロシン
[カンナビノイド系]
大麻草(マリファナ)
化学合成品
[アンフェタミン系]
①覚醒剤(シャブ)
②ヒロポン
③MDMA
(ⅱ)違法ではないが依存性が高い物
(1)脱法ドラッグ
違法薬物と類似した構造や作用を持つ
①合成カンナビノイド
大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナビノール)作用…多幸感
②エフェドラ系
生薬の「マオウ」に含まれるエフェドリン作用…興奮
③ニトライト系
亜硝酸エステルの作用…酩酊感
(2)有機溶剤系…シンナー、エタノール
溶媒として工業用に使用されるが、揮発性が高く、脳の中枢神経麻痺作用…酩酊感
(3)スマートドラッグ
神経伝達物質を調整するサプリメント
効能
・脳への栄養分や酸素供給の改善作用
・脳細胞の成長や保護
・向知性…脳の認知能向上など
①コリン作用性
・集中力、記憶力などの改善
・抗うつ作用
②ドーパミン作用性
・ドーパミン前駆体や補因子に作用
・ドーパミン再取り込み阻害
③セロトニン作用性
・セロトニン前駆体や補因子に作用
・選択的セロトニン再取り込み阻害
(ⅲ)依存性は低いが過度の摂取で中毒症状を起こし
やすい物
①ニコチン…覚醒作用
②酒…酩酊感
③カフェイン…覚醒作用
④甘味料(精製糖、人工甘味料、果糖ブドウ糖液糖など)…情緒不安定
(Ⅱ)薬物の陰陽
薬物が危険なのは、脳内の神経伝達物質が、自律神経に作用して、さまざまな危険な症状を
引き起こすからです。
(1)神経伝達物質の陰陽
これらの物質は7種類あります。その働きによって、陰陽で分類してみました。
(2)自律神経作用の陰陽
ここでは「交感神経」作用の陰陽で分類してみました。
①▼交感神経抑制
・アルコール系・・・甘味料、酒、有機溶剤
・カンナビノイド系・・・脱法ハーブ、大麻
・アルカロイド系・・・カフェイン、ニコチン、シロシン、コカイン、アヘン、
モルヒネ、ヘロイン
②▲交感神経刺激
・向精神薬系・・・脱法ドラッグ、スマートドラッグ
・麦角成分系・・・LSD
・アンフェタミン系・・・MDMA、ヒロポン、覚醒剤(シャブ)
①は交感神経を抑制する…つまり副交感神経を優位にするということだとも言えます。
副交感神経は、心身をリラックスさせる働きがあります。
「甘味料」の入ったお菓子を食べ、ソフトドリンク類を飲んだり、「アルコール」のお
酒や「カフェイン」のお茶やコーヒーを飲んだり、「ニコチン」のタバコを吸ったり
すると、リラックスしますよね。
しかし、それが行き過ぎると、神経を「マヒ」させ、危険な状態にさせてしまいます。
まさに、モルヒネなどの医療麻薬は、その効果で痛みを止めたり、麻酔をかけたりす
るのです。
②は交感神経を刺激させますから、①とは逆に心身を活性化させ、やる気を出させ、
眠らなくても平気な状態にさせます。向精神薬は、その効果で「抗うつ薬」の1つに
なっていますね。
しかし、それが行き過ぎると、幻覚症状を起こし、さらには錯乱状態に陥入ってしま
います。
(Ⅲ)依存から脱却するには…
どうしたら、依存せずにすむのでしょうか?
ただでさえ、お酒やタバコを止めるのは至難の技で、その外来の病院もあるほどですから
ね。
では依存の陰陽についてから考えてみましょう。
(1)自分の「心」の陰陽を知る
マクロビオティックには、世界観として、「無双原理(PU)」があり、それは十二の
定理で表わしています。
その1つの定理として、「陰は陽を、陽は陰を相牽引(けんいん)す。」というものが
あります。
それは、例えば磁石のN極、S極と同じで、お互いが引き合い、中庸になろうとしてい
る現象です。
現在の自分の「心」が陰なのか、陽なのか、それによって求めるものが違ってきま
す。
▼性ならば、無気力になっている←▲性になりたい
▲性ならば、ストレスがたまっている←▼性になりたい
ということになります。
(2)自分の「体」の陰陽を知る
では、どうしてそのような「心」になってしまったのでしょうか?それは精神性を司
る脳への「血液」の陰陽によります。
血液の陰陽は食べ物で決まりますね。
まさしく、「We are what we eat」です。
▼性・・・色白、ぽっちゃり←▲性食を求める
▲性・・・色黒、がっちり←▼性食を求める
これで血液を中庸にすれば、健康のバロメーターである「快眠、快食、快便」とな
り、生活の動きが楽になり、気持ちに余裕がでてきます。そして、前向きになり、
▼性の無気力にならず、▲性のストレスにも対処できる精神性が宿ります。
(3)自己矛盾も知る
こうして陰陽の調節・調和ができれば良いのですが、問題は「心」のあり方です。
▼性の体の人が「ストレス」という▲性の心になった時、癒してくれるお酒やお菓子
という極▼性食を求めてしまいます。
「心」は一時、安定しますが、血液はますます▼性になり、体はむくみ、脱力しま
す。
▲性の体の人が「無気力」という▼性の心になった時、元気づけてくれる焼肉やピザ
などの極▲性食を求めてしまいます。
すると、血液はますます▲性になり、体は固くなり、脱力します。
この現象のことをPUでは、「陰極まりて陽生じ、陽極まりて陰生ず」としています。
こうして体が動かなくなってくると、何とかしようともっと刺激を求めて、薬物に手
を出してしまうことになるのです。
とは言うものの、極▼極▲の食べ物って美味しいんですよね。「わかっちゃいるけ
ど、やめられない」というスーダラ節がありますが、田代まさしさんもそうなんで
しょう。
現代日本は飽食の時代で、お金を出せば、すぐに美味しい物が食べられます。
私なんかがデパ地下へ行くと、目まいがして、下を向いて通り過ぎます(苦笑)。
マクロビオティックでは、すでに陰陽調和をしている中庸の食物である穀類を中心
に、陰性の野菜を陽性の塩で調理して調和をさせる「穀物菜食」をお勧めしていま
す。
けれども、「病気治し」という視点で、食養生論を強調してきたため、「マクロビオ
ティック=ストイックな食事」と思われがちです。
確かに、病気治しには、消化吸収がスムーズで、エネルギー代謝の良い植物性食品の
方が有効です。
けれども、人間は「矛盾の生き物です」。
当初は、穀物菜食に励みますが、体調が良くなると単調な食事がつまらなく思え、ス
トレスになってくるかもしれません。
さあ、どうしましょうか…?
(4)伝統に沿った生き方を
日本には古来から伝統行事やお祭りがありますね。
お正月やお彼岸、お盆…お花見やお月見なども…ついでにクリスマス、ハロウィーン
も??
昔はその時だけの行事食、お祭り食を食べ、日頃は一汁二菜的な食事をし、「ハレの
日、ケの日」がはっきりしていました。
ところが今では、いつでもどこでも、ごちそうが食べらえる陽性のハレの日ばかりで
す。
逆に、ストイックと思われてしまう穀物菜食は、陰性のケの日ばかりになりやすいで
す。
陰陽調和がモットーなマクロビオティック的ではないですよね。
ですから、ケの日は和食とし、ハレの日に好きな物を好きなだけ食べる、というのは
いかがでしょうか?
そうすると、自分の許容量が分かってきます。
でも、それは、次の日がお休みの日だけにして下さいね。
食べすぎて倒れても、寝てられるからです(笑)。
(5)宗教にも食事の陰陽
キリスト教では、イエス様は1週間に1度の安息日を設け、その日だけは、ごちそうを
食べるのを許してくれます。
イスラム教では、断食の期間を設け、それが明けるとごちそうを食べるのを許してく
れます。
仏教では中庸な精進料理がありますし、神道では中庸なお米が中心ですね。
このように、伝統宗教は、陰陽を教えているとも言えます。
つまり、陰陽両極端にならない中庸な食生活をすれば、心身ともに両極端にならず、
両極端の薬物依存にならずともすむ、ということです。
そのためには、まず、陰陽を知り、五行でご自身の心身を調節することが大切です
ね。
どうぞ、「陰陽五行的マクロビオティック生活」でお暮らし下さい。
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