第13回 食養の陰陽-「五味」について④
相剋の関係
相剋とは相手を牽制(けんせい)する、という意味なので、悪い意味にとらえやすいですが、「出すぎた相手を抑制する」という「良い意味」もあります。
良いも悪いも両方を知っておかないと「何が何だかわからん」となってしまいます。
PUの定理の表と裏の関係のように、物事には二面性がある、と頭において下さい。
そうすれば、悪いことでも良いことでがあるんだなあ~と思えるようになり、気が楽になりますよ。
今回は「良い牽制」について説明いたします。
(1) 木-肝・胆 【酸】
辛(金) からの良い牽制
「金の斧で生えすぎた木を切り倒す」
(肝臓の例)-脂肪肝
栄養をつけすぎて、フォアグラ状態になった肝臓のことです。
この栄養分が大好きなのが肝炎ウィルスです。
そのままにしておけば、慢性肝炎、進行すればガンになります。
(胆のうの例)-胆道感染症
胆のうや胆管にウィルスが感染する病気です。
肝炎と同様、胆汁に含まれる栄養分が過剰になって、ウィルスに感染します。
辛味がウィルスを抑制してくれます。
沖縄の人にとっては「ウコン」がその代表ですね・
「ウコン」は生姜の仲間で金の食材です。
「春うっちん」と「秋うっちん」がありますが、この違いを陰陽で考えるとおもしろいですよ。
よろしければ、その解答をお寄せ下さいね。
(2) 火-心蔵、小腸 【苦】
鹹(水) からの良い牽制
「火事を水で消す」
(心臓の例)-心肥大
アルコールや糖分、香辛料などの陰性食品で心臓そのものや、心筋がゆるんでしまった状態です。
拍動が弱まるために、脈数が減少してしまい、重症化すればペースメーカーを植えつける手術をされてしまいます。
(小腸の例)-鼠径(そけい)ヘルニア=脱腸
同様に陰性食品の過剰で小腸がゆるみ、鼠径部あたりに脱出し、こぶが出きたような状態になります。
腹痛、嘔吐などの症状が出れば、手術となります。
塩味がゆるんだ細胞を引きしめてくれます。
「ナメクジ」に塩をかけると、水分を出して小さくなる、という話しを聞いたことはありますか?
最近「ナメクジ」を見かけませんが・・・でも見かけても塩をかけないと思います(苦笑)
(3) 土-脾(胃、膵臓) 【甘】
酸(木) からのよい牽制
「肥料をあげすぎた土には、もっと木を植えよう」
(胃の例)-胃炎
たんぱく質の摂りすぎで、胃液の分泌活動が低下し、胃壁が炎症をおこしている状態です。
進行すれば、胃潰瘍、そして胃がんになります。
(膵臓の例)-膵炎
脂肪の摂りすぎで、胃と同様に膵臓の分泌が低下し炎症をおこしている状態です。
インスリンが問題の糖尿病とは違いますが、進行すると膵臓が萎縮してくるので、糖尿病にもなります。
酸味が消化活動を援護してくれます。
お酢を使う料理ですぐに思いつくのは「酢のもの」や「お寿司」ですね。
たんぱく質分解や殺菌効果のある酢で、生の魚介類を食べるのは、理にかなっているのだとつくづく思います。
(4) 金-肺・大腸 【辛】
苦(火)からの良い牽制
「鉄(金)はアツい(火)うちに打て」
(肺の例)-肺炎
ウィルスや細菌によって感染する病気ですが、これも肺にエサをため込んでいることが原因です。
(大腸の例)-大腸炎
大腸の粘膜がただれて潰瘍などができる病気です。
消化不十分な食物が腐敗して毒素を出し、それによって潰瘍ができるのですが、現代医学では原因不明として難病に指定しているところがチャンチャラおかしいです。
苦味の抗酸化効果でバイ菌や毒素を退治しましょう。
苦くて良いもの、といったら薬草でしょうか。
昔から「良薬、口に苦し」といわれてきましたものね。
(5) 水-腎臓・膀胱 【鹹】
甘(土)からの良い抑制
「水の流れを土でコントロール」
(腎臓の例)-腎炎
肝炎や肺炎と同様、細菌やウィルスに感染し腎臓の糸球体が障害されます。
糸球体は血液をろ過して尿にしますが、障害されると血尿やタンパク尿がでたり、むくみが出ます。
(膀胱の例)-膀胱炎
尿道が短い女性に多いことから、性行為時や排尿をガマンしすぎることが原因とされます。
膣の浄化機能、膀胱の柔軟性が低下しているところに、動物性食品を摂りすぎて・・・いえ、その反対に摂りすぎて、低下した・・・からバイ菌がやってきた、ということでしょうか。
甘味の陰性食で柔軟性をとり戻しましょう。
ただし、陰性すぎる果物には気をつけましょう。昔は「スイカ」が腎臓病のクスリとされてきましたが、今は「スイカ」は糖分が多いし、現代人は糖分にも害を受けているので、せいぜいきゅうりやトマトの夏野菜の甘味にしましょうね。
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