第14回 食養の陰陽-「五味」について⑤
相剋の関係
今回は「悪い牽制」についてです。
(1) 木-肝臓・胆のう 【酸】
辛(金) からの悪い牽制
「金の斧で木を切ってしまう」
(肝臓の例)― 肝硬変
肝細胞が壊死し、徐々に肝臓が繊維化していく病気です。
(胆のうの例)― 胆道ジスキネジー(機能異常)
症状がないにもかかわらず、胆石症に似た症状が現れる病気です。
自律神経の機能やホルモンの分泌が異常になって、胆汁の流れが円滑に行われない、と考えられています。
そんなことは陰陽五行で考えれば簡単にわかることですよね。
刺激の強い香辛料の辛味で、肝臓や胆のうに活(カツ)!を入れてくれるので、そこが弱っている人は、その刺激がたまらん!と激辛食品を摂り過ぎてしまいます。
たまにならいいのですが、いつも刺激していると細胞がそのストレスに耐えかねて、自滅してしまう、ということです。
さらにアルコールやソフトドリンク類を飲めばダブルパンチとなり、黄疸を起こしたりして肝不全への道へまっしぐらです。
(2) 火-心蔵、小腸 【苦】
鹹(水) からの悪い牽制
「水が火を消す」
(心臓の例)― 高血圧
塩分過多による病気で有名です。
(小腸の例)― クローン病
塩分が腸を脱水して下痢を起こします。
初期には病変がないので、過敏性腸症候群と診断され、原因不明のまま進行し、腸が繊維化しクローン病となり、腸閉塞を起こすようになります。
以上は鹹味が関係した病気ですが、もちろんマクロビはそれだけを原因としていいないことは、おわかりですよね。
(3) 土-脾臓 【甘】
酸(木) からの悪い牽制
「木が生えすぎて土の養分を奪う」
(胃の例)― 胃酸過多症
症状は胸やけやげっぷ、胃もたれ、胃液の逆流などです。
胃や食道の粘膜が傷ついていれば、胃酸は強いですから、その粘膜まで溶かしてしまいます。
(膵臓の例)― 膵炎
前回の膵炎は脂肪の摂り過ぎで、その分解に酸味が必要としましたが、今回は胃酸で酸性に傾いた十二指腸の内容物とアルカリ性で中和してくれる膵液の話しです。
酸性がいつも強いと中和力が酷使され、機能低下を起こすために炎症を起こします。
酸味が苦手な人は脾がよわっている、と考えていいでしょう。
(4) 金-肺・大腸 【辛】
苦(火)からの悪い牽制
「火が金を溶かす」
(肺の例)― 肺気腫
肺胞という細胞が破壊され、ガス交換できずらくなり呼吸困難を起こす病気です。
主な原因は喫煙とされ、喫煙歴の長い中高年や喫煙をする女性の発病率が高いです。
(大腸の例)―食中毒
食中毒を起こすので有名なのは大腸菌ですよね。
特にO-157って知らない人はいないでしょう。
「かいわれ大根」が犯人にされ「かわいそう大根」になってしまいました。
本当はそれと一緒に食べていた動物性食品が原因なのにね。だって大腸菌が増えやすいのはそういう食品なんですよー。
ここでの苦味は火をつけたタバコの煙と動物性食品を火で調理した「焦げ」です。
「焦げ」は発ガン性物質とされてきたのを覚えていますか?
(5) 水-腎臓・膀胱 【鹹】
甘(土)からの悪い抑制
「土が水の流れをせき止める」
(腎臓の例)― 糖尿病性腎症
腎臓の機能低下でタンパク質まで尿として出していってしまい、それによって高血圧、貧血、むくみが起こります。
進行すると腎不全となり人工透析となります。
(膀胱の例)― 尿失禁
排尿を司る神経に障害があったり、尿道括約筋などが弱まるために起こります。
甘味は糖尿病の大敵ですし、神経や筋肉もそれによって体内イオンの電気信号を撹乱させられ異常を引き起こすわけです。
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