第9回 五気

五色の次は五味ですが、これは次回にして、今回は五気について説明します。

五気とは風・暑・湿・燥・寒と、気候の変化を五つに分けたものです。

五気にはそれぞれの良さがあり、心身の陰陽バランスが良い(中庸)と、それを実感できます。ところがバランスが悪いと、五気の程度の差が大きいほど心身に悪影響を及ぼし、病気になってしまいます。

この病気にさせる「気」が「邪気」で、それぞれの五気の後に「邪」をつけて言い表します。なので、病気の治癒のために、おがんでもらったり、お供えしてお祈りするのを「邪気払い」と言うのですね。

そういう精神的な効果で脳内ホルモンの分泌を活発にし、体の働きを良くすることもできますが、それだけで病気を治すのはムシが良すぎるのではありませんか?(苦笑)

陰陽のバランスを崩したのは今までの自分の生活習慣のまちがいからでしょ?だからPUの考えに沿って地道に自分を正していかなければならないのです。

では季節の五気を清少納言の「枕草子」を引用して掲げてみます。

【1】 木 - 春 「風」

春はあけぼの
- 白くなっていく山際が明るくなり紫がかった雲がたなびく -

陰性の紫の雲が穏やかな風にのってたなびく様子がほのぼのとしていいですね。

風邪(ふうじゃ)は・・・
これが「カゼ」の語源なんですね。風は軽くて、移りやすい性質なので感染症と関係し、「カゼ」はもちろんのこと風の字がつく「風疹」もそうですね。

「痛風」は感染症ではありませんが、風に当たるだけでも痛むということですし、「はしか」は風に当ててはいけないということで、密室で看病したそうですよ。

「花粉症」も、風に運ばれてきた花粉が引き金になりますね。

さらに、気分の「気」は風のようなもので、感情の強弱(ストレス)でなりやすい自律神経失調症もこれにあたります。

【2】 火 - 夏 「暑」

夏は夜
- 蛍が飛び交うのも良い -

日中は陽性で暑さが厳しくとも、陰性の夜は涼しく、暗さゆえに蛍の美しさを感じるのですね。

暑邪(しょじゃ)は・・・
暑さのために体内に熱が込もり、いわゆる「熱中症」の諸症状が出ます。

汗をかきすぎて脱水症状になると、体液が粘り、循環障害を起こし、特に熱は上昇するので、体の上部、特に頭部に影響し、精神的にも不安定になりやすいです。

【3】 土 - 晩夏(土用) 「湿」

雨など降るもをかし
- 雨降りも趣がある -

高校の古文のテストで「をかし」の意味は何か?という問題があったと思います。

古文や漢文が苦手で、居眠りしたような・・・(笑)

梅雨時の長雨はつらいですが、夏の夕立後の空気が洗われた感じや、暑さでしおれていた草花たちが生き生きとする様はいいですね。

湿邪(しつじゃ)は・・・
湿度が高くなると、浸透圧の差が少なくなり、体外へ出すべき体内の水分が排泄しにくくなります。

そのために、体が重だるくなり、むくんだり、痛みやしびれなどの症状が、特に低気圧の時に出やすい人はこのタイプです。

また、うだるような暑さでは食欲も出ず、食中毒にもなりやすいので消化器官系にトラブルを起こします。

【4】 金 - 秋 「燥」

秋は夕暮れ
- 夕日が差し、からすや雁が寝どころへ帰っていく様子は趣があり、日が沈み、風の音、虫の音などがきこえてくることも言うまでもない -

日中は秋晴れで空気がカラッとし、夕方、冷んやりして、温かい我家に急いで帰る情景が目に浮かびます。

燥邪(そうじゃ)は・・・
空気が乾燥すると、それに直接影響を受ける肺や皮毛(肌)の潤いがなくなってきます。

肌はカサつき、肺の機能が低下して咳が出たり、胸が痛んだりして呼吸器系に問題が生じます。

【5】 水 - 冬 「寒」

冬はつとめて(早朝)
- 雪が降った時だけでなく、霜が白く、とても寒い時に、火をおこした炭が似つかわしい -

寒いからこそその白さに対比する赤い火が際立ってよいのですね。昼になって暖かくなり、炭が白くなるのを見るのは「わろし」としています。

寒邪(かんじゃ)は・・・
寒さで体内の熱が奪われ、冷えに伴う諸症状があらわれます。

特に体温調節をしている甲状腺や腎臓がダメージを受けやすく、関係している内分泌(ホルモン)系も機能低下します。

マフラーや腹巻きが好きな人はそういうところが弱っているのかもしれません。

以上、五邪について説明いたしましたが、「邪気」は単独というわけでなく、重なって起こるため、症状が複雑化し、病気の判断が難しくなります。

けれども日本人の体に合った身土不二(しんどふじ)で、季節に合った旬の食物を摂り、陰陽のバランスのとれたマクロビ生活をすれば、それが、本当の「邪気払い」になります。

「パワースポット巡り」もいいですけど、「PU教室」に来て、お払いの仕方を習って下さいね!

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